個人のお客さんから、自宅用のバーカウンターの注文を頂いた。

部屋の隅にバーカウンターを設置して、友人を招き 〝おもてなし 〟をしながら毎週末を過ごしたい、と言うとてもユニークなオーダーだ。

先ずは部屋の間取りと動線の確認をして、ラフスケッチを描く。それを基に詳細を打ち合わせして製作に入る。

この時気を付けなければならないのが、色と予算の問題。

お客さんは、一世一代のつもりで高価なオーダー家具を注文している。絶対に失敗したくない気持ちが強過ぎて、壁の色に合わせて白いカウンターや、床の色に合わせて薄茶色のカウンターを好む。

しかしバーカウンターと言えば、マホガニー材のイメージが誰しもに知らずの内にすり込まれている。

マホガニー材と言えば赤茶系の色なので、お客さんの意見に頷きながらも、ゆっくりと赤茶系の色に誘導する。なんとか粘ったあげく、赤茶系の色で了承してもらう。

もう一つはコーナーを丸くするか、直角にするかの問題。当然丸くした方がコストが高い。お客さんはコストの関係で直角を選ぶが、ここは丸くしないとカウンターを作った意味が無い!と言わんばかりに説得する。そしてここもなんとか了承してもらう。

私としては売り上げを上げたくて、そう言う事を言ってるつもりは全く無い。

最終的に〝買って良かった!〟の声が聞きたいだけだ。

最近のお客さんは失敗を恐れて、無難なモノをオーダーする傾向が強い。その通りに設計製作を行えばスムーズに事は済むが、そこには〝買って良かった〟の声は無い。

その声を聞きたいがために、家具職人として、また家具デザイナーとして、打ち合わせに多くの時間を使っている。

今日の納品でも、私の聞きたい声が聞けて一安心。(写真はウチの工場で写したものです)

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